2016/11/18

南極のペンギン

塾内にある「ダヴコット文庫」の本は,最長一週間自宅に持ち帰って読むことができるようにしてあります。これは先週ある塾生が「一晩で4回も読んじゃった」という本。


健さんが映画の撮影を通して出会ったり,見たり聞いたり,考えたりしたことをまとめた心温まるエッセー集(集英社,2001)です。

誰にも助けを求めに自分で判断し行動していた,いたいけなアフリカの少年。「ここに住むと,人間を信じることができる」という北極のインド人ガイド。命の危険を感じるほどのブリザードから逃れ,無事を祝ってくれたスコット基地のニュージーランドの人たち。日本人女性に恋をしたが,自ら身をひいた「じょうだんじゃ,ナイよ」が口癖のハワイのベトナム料理人。千日回峰行を二度も行った比叡山の生き仏,酒井雄哉大阿闍梨。鞍のない馬をついに乗りこなした健さんの涙を誘った荒ぶるオーストラリアのホースメンたち。心の中で今でも生き続ける,ふるさとのお母さん。ある画家と出会って「病気になってはじめて,もしかしたらなおるかもしれない」と思った奄美の少女。お金では買うことのできない品性を漂わせていたポルトガルの老ショーファー(運転手)。島で生まれ,島で育ち,島で老いていく,子どももおとなも楽しめる沖縄のある小さな村の運動会で出会った人たち。
 
健さんって,世界中どこへ行っても,健さんなんだよなあ。