2025/06/12

「礼儀正しさ」とは何か?

 

(続き)「そして知識として道徳教育を行っているにすぎないから、列に並ぶこと、遅刻しないこと、ハンカチを忘れないこと、それだけに意味を置く社会になっているのではないかとも考えた。規律を守ることのみが重視され、その価値観に基づいてあらゆることが白黒付けられていくと、一度失敗しただけの者に対して「一斉攻撃」を仕掛けることにためらいがなくなってしまう。事実、今のメディアやSNSにその状況が表れている。言ってみれば、不注意への袋叩き状態を認める社会だ。その行為は自分の主体的な行動などではなく、強権への無自覚な加担にすぎない。

学校のために生徒に頑張らせるとか、国のために勉強させることはあってはならない。国のため、学校のため、それらは言葉としては悪いものではないけれど、それが教育のすべてに当てはめられていくのは間違いである。しかし、そういう傾向に社会全体が向かっているような気がしてならない。これが極まると、独裁国家になる。融通の利かない、失敗に不寛容な、一つの正しさだけを価値とする、自分ファーストの社会だ。現在、世界がその傾向にあればなおのこと、教育を型にはめることのないようにしなければならない。」

渡辺憲司著
「生きるために本当に大切なこと」(角川文庫)


2025/06/11

「礼儀正しさ」とは何か?

 

「巷間に言われるほど日本は礼儀正しい国であろうか? 電車の中でお年寄りや体の不自由な人に席を譲っているだろうか? 同年代の日本人数名で中国の北京の大学へシンポジウムに出かけたことがある。地下鉄に乗る際、中国の人たちの多くはドアが開くと一斉に飛び込む。降りる人を待って乗るという秩序も順番を待つということも見られなかった。しかし私たちが乗ると競って乗っていた若者が一斉に席を譲ってくれた。日本では、若者の多くは乗るとすぐに下をむいて携帯を見ている。本当に礼儀正しい国はどちらなのか。日本の道徳教育は本当に役立っているのか。私たちはどういう国を求めているのか。そんなことを感じざるを得なかった。」(続く)

渡辺憲司著(元立教新座中高校長)
「生きるために本当に大切なこと」(角川文庫) 

 

2025/06/10

白鳳、新たな挑戦へ




【一口メモ】

saying:分詞構文(連続した動作を表す。「AしてBする」A=left、B=saying「退職して、語った」)このように Bに分詞構文が来ることもある。
lead 人 to do:人に[を] ~する気にさせる、~するように導く[仕向ける]
and は何と何を結んでいるか? quit と start。
aimed at ~:分詞(直前の名詞 project を修飾)「~を対象にしたプロジェクト」

【訳例】

元横綱白鵬は月曜日、日本相撲協会を退職し、その日のうちに、協会への不信感が、協会を辞めて、アマチュア力士を対象とした新たな国際的なプロジェクトを始めることにつながったと語った。

 

2025/06/09

長嶋茂雄は永久に不滅です。

by 原 辰徳




「弔辞、長嶋茂雄殿。長嶋さん、原辰徳です。長嶋さん寂しいです。世界中の野球ファンがそう思っているでしょう。私もその中の一人です。私は長嶋さんに憧れていました。

 九州で生まれ、野球を見ることが大好きでした。長嶋さんのワンプレー、ワンプレーかっこよかった。「4番、サード、長嶋」の響きに憧れ、同じポジションを守りたいと強く思いました。

 東海大学4年のときのドラフト会議で、私は藤田監督に交渉権獲得のくじを引いてもらい、夢であった巨人軍入団となりました。その日の夜、自宅に1本の電話が鳴りました。おふくろが出たのですが、「長嶋さんからよ」と血相を変えて伝えてきました。代わってみると「長嶋です。おめでとう。君が巨人に入ってくれて本当によかった」と祝福してくれました。

 その年、長嶋さんは監督をお辞めになって、立場的にも難しい状況だったと思いますが、なんと広い視野で野球を捉え、巨人を愛している方なのだろうと思いました。その中で長嶋さんの言葉は力になり、宝になり、自信を持って巨人の門を叩くことができました。指導者としても多くのことを教わりました。野手総合コーチ、ヘッドコーチとして3年間、長嶋監督のそばに立たせてもらいました。

 東京ドームの監督室、遠征に出れば宿舎の部屋で、それこそ長嶋さんが「もう今日はいいんじゃないか」って顔をされるぐらい通いましたよね。本当に全てを学ばせてもらいました。試合中も、移動するバスの中も、常に長嶋さんの後ろが私の定位置でしたから、私ほど長嶋さんの背中を見つめた人間はいないんじゃないでしょうか。

 常に、万人に愛される、朗らかな笑顔を絶やさない方でした。背中は本当にいろんな表情を見せてくれました。勝てば揚々と躍動するような雰囲気でしたが、負ければ、何とも言えない寂しそうなものでした。「こんな背中は見たくない」と活力にしたことも記憶に鮮明に残っております。

 2001年9月27日、広島との試合後です。監督室に呼ばれました。急いで監督室のドアをノックし、開けてみると、すぐ目の前に直立されて、立たれていました。いつもと違う雰囲気に圧倒されていると、「来年から原監督だ。おめでとう」と右手を差し出してくれました。

 何が起きているかよくわからないままに、両手でその手を握り返しましたが、そのときの長嶋さんの手の熱さに足はガクガク震え、同時に責任の重さを感じました。あれから私なりに一生懸命駆け抜けてきましたが、監督に指名してくれた長嶋さんの期待に応えたことはできたでしょうか。 

 監督を務めていた間は「どうだ、気分良くやっているか」といつも温かい言葉をかけてくれましたね。一言二言、忠告したいこともあったのかもしれませんが、そういったことは一度もありませんでした。私は「監督たるもの人に頼るなよ。自立するんだぞ」というメッセージを受け取っていました。

 常に勝負に厳しく、ファンのことを第一に考えられていた長嶋さん。私をはじめ、今の巨人軍選手にも確実に長嶋さんの志は受け継がれています。長嶋茂雄は永久に不滅です。ミスター、本当にありがとうございました。これからも大好きな巨人軍を温かく見守ってください。令和7年6月7日。原辰徳」


2025/06/05

"vintage rice" ??



【一口メモ】

as:時を表す副詞節を導く接続詞「Sが Vする中で」
government stockpiled rice:政府備蓄米
sell ~ to ...:~を ... に売る
unveil:ベールを脱ぐ、~を発表する
rice balls made of ~:「~で作られた おにぎり」、made は過去分詞による分詞。

【訳例】

コンビニが、古い収穫の政府備蓄米を消費者に売る準備をする中で、ローソンは「ヴィンテージ米」で作られた おにぎりを提供する計画を発表した。


2025/06/04

もっと本気で取り組んで!




【一口メモ】

abducted は、過去分詞による「分詞」。a Japanese woman を後ろから修飾しています。このとき、woman と abudcted の間に be 動詞を入れて文意が通ることが約束(a Japanese woman was abducted by 〜)。「~によって誘拐された日本人女性」。中3で習います。
a Japanese woman とは、横田めぐみさんのこと。中学1年生の時に北朝鮮によって拉致されてから今年で48年。mother は横田早紀江さんのこと。今年で89歳になるという。明日5日は、お父さんの滋さんが87歳で亡くなってから5年目の命日。

【訳例】

北朝鮮に拉致された日本人女性 の母親は、この問題についてのいらだちを表し、「政府がもっと真剣にこの問題に取り組んでほしい」と話しました。


横田早紀江さん 「事件から50年近い年月がたち、これまで総理にも何人もお会いしてあらゆることをしてきたつもりですが、何にも動きません。時間がないので真剣にやってくださいと、私たち家族はお願いすることしかできません。政府にはもっと本気で被害者を取り返さないといけないという使命感をもってもらいたいです。」

 

2025/06/03

RIP Nagasima

RIP = Rest in Peace
長嶋さんのご冥福をお祈りします



【一口メモ】

celebrated:有名な
linchpin:車軸ボルト → かなめ、中心人物
storied:伝説的な
dynasty:王朝、名門

【訳例】

日本の最も有名な野球選手であり、1960年代と1970年代の伝説的な名門東京読売ジャイアンツの中心人物だった長嶋茂雄氏が、89歳で亡くなりました。


2025/06/02

副詞節の〈主語+be 動詞〉の省略




【一口メモ】

think of ~:~について考える
when off:when と off の間に S+be(many Japanese workers are)の省略。S は主節の主語と一致することが約束。♠364 [初出は Sunshine 2(2021)]
be off:休んでいる
and は are stressed out と think of ~ を結んでいる。

【訳例】

日本の労働者の多くは、休みの日も仕事のことを考え、ストレスを感じている:調査

 

2025/06/01

prevent O (from) doing

= Oが~するのを妨げる( ≒ keep, stop, hinder)


【板書メモ】from の有無

ジーニアス英和辞典


❑ The new medicine prevented the disease from spreading all over the world.
(その新薬は病気が世界中に広がるのを防いだ)G

❑ The cold weather may keep the plants from budding.
(寒い天候のために、植物は芽を出せないかもしれない)青

❑ There's nothing to stop you from doing what you like.
(あなたがしたいことをするのを妨げるものは何もない)G

❑ Excessive indulgence hinders children from developing their independence.
(過保護は子供が自立心を発達させるのを遅らせる)G

hinderstop より堅い語。prevent に比べ「邪魔をして遅らせたり止めたりする」ことを強調する)


※ G=ジーニアス英和、青=青チャート