2020/11/11

英語学習 心躍る100冊 (9)


旺文社 News Release(2010年12月7日)
赤尾 好夫 編『英語の綜合的研究』6訂版(1964,復刻版 2010)


英語学習者に必須な常識

1.一般常識(一部抜粋)

英語の解釈力は,英文法的解剖がその骨組みとなり,土台となるものであり,その方面の研究のたいせつなことはいうまでもないが,文を読んで公正妥当な意義を捕らえるには,常識に訴えて判断すべきことも多いのである

文というものは必ず何らかの考えを表しているものであるから,自分のほうにその内容を了解するだけの予備知識がなければ,字は単に生命のない符号にすぎないものとなってしまう。

通例,問題は世界一流の思想家・文芸家・政治家・科学者の思想や言行が直接,間接にその内容をなしているのであるから,これを解きかつ訳出するにあたっては,解く者の側にも相当の学識が備わっていなければならないのは当然である。

諸君は学校において,地理・歴史・物理・化学・生物・数学・国語 etc., etc. と,余すところなく教えられ,そのうえ,新聞に雑誌にラジオ・テレビに映画・ニュースに世界のできごとは手に取るように伝えられて諸君の知識を時々刻々豊富にしている。常識の不足をかこつ必要などあるわけのものではないのである。

ところが学生諸君のうちに,ややもすればその点不十分の者があるのはあまりにも皮相的の勉強に没頭しているからではなかろうか。しかしながら,円満なる常識の涵養(かんよう)こそ,ある意味では最も基本的な学問修業の一重要部門であることを忘れてはいけない。