2014/07/02

日本国憲法 前文

日本国憲法が公布された昭和22年,
文部省(今の文科省)は,
日本国憲法の精神と内容を記した
『あたらしい憲法のはなし』 という教科書を発行し,

当時の中学1年生は社会科の教科書として
この本を使っていました。

全文は青空文庫で読むことができます。

『あたらしい憲法のはなし』
http://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html


その中の憲法の前文についての箇所を,書き留めておきます。
この前文には,だれがこの憲法をつくったかということや,どんな考えでこの憲法の規則ができているかということなどが記されています。 この前文というものは,二つのはたらきをするのです。 その一つは,みなさんが憲法をよんで,その意味を知ろうとするときに,手びきになることです。 つまりこんどの憲法は,この前文に記されたような考えからできたものですから,前文にある考えと,ちがったふうに考えてはならないということです。 もう一つのはたらきは,これからさき,この憲法をかえるときに,この前文に記された考え方と,ちがうようなかえかたをしてはならないということです。
そして以下が日本国憲法の前文です。

日本国憲法(国立国会図書館)
http://www.ndl.go.jp/constitution/etc/j01.html

 日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し,われらとわれらの子孫のために,諸国民との協和による成果と,わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し,政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し,ここに主権が国民に存することを宣言し,この憲法を確定する。 そもそも国政は,国民の厳粛な信託によるものであつて,その権威は国民に由来し,その権力は国民の代表者がこれを行使し,その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり,この憲法はかかる原理に基くものである。われらは,これに反する一切の憲法,法令及び詔勅を排除する。
 
 日本国民は,恒久の平和を念願し,人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて,平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは,平和を維持し,専制と隷従,圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは,全世界の国民が,ひとしく恐怖と欠乏から免かれ,平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 
 われらは,いずれの国家も,自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって,政治道徳の法則は,普遍的なものであり,この法則に従うことは,自国の主権を維持し,他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 
 日本国民は,国家の名誉にかけ,全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う。