中学国語2(教育出版)
内田樹『学ぶ力』より一部抜粋
「私は学びたいのです。先生、どうか教えてください。」数値で表せる成績や点数などの問題ではなく、たったこれだけの言葉。これが私の考える「学力」です。このセンテンスを素直に、はっきりと口に出せる人は、もうその段階で「学力のある人」です。逆に、どれほど知識があろうと、技術があろうと、これを口にできない人は「学力がない人」です。それは英語ができないとか、数式を知らないとか、そういうことではありません。「学びたいのです。先生、教えてください。」という簡単な言葉を口にしようとしない。その言葉を口にすると、とても「損をした」ような気分になるので、できることなら、一生そんな台詞は言わずにすませたい。誰かにものを頼むなんて「借り」ができるみたいで嫌だ。そのように思う自分を「プライドが高い」とか「気骨がある」と思っている。それが「学力低下」という事態の本質だろうと私は思っています。自分の「学ぶ力」をどう伸ばすか、その答えはもうお示ししました。皆さんの健闘を祈ります。
「教えてください」という言葉の裏には、まず、自分自身で物事に向き合い、考えた過程があります。取り組んだからこそ疑問に気づき、その結果として自然に出てくる言葉でもあります。
塾生を見ていても、質問ができる子と、なかなかできない子がいます。ぐんぐん伸びていくのは、やはり、質問できる子です。疑問を一つひとつ解決していくことで、理解が深まり、自信も育っていきます。
この姿勢は、勉強に限ったことではありません。部活動でも、職場でも、あらゆる場面に共通しています。「教えてください」と言える人ほど、多くを吸収し、成長していきます。
学ぶ力とは、知識の量ではなく、学ぼうとする姿勢そのもの。私も日々そう感じています。
