2024/10/21

恐れずに挑め


中島敦「山月記」より

人生は何事をも為さぬにはあまりに長いが、何事かを為すにはあまりに短いなどと口先ばかりの警句を弄(ろう)しながら、事実は、才能の不足を暴露するかもしれないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭(いと)う怠惰とが己(おれ)のすべてだったのだ。己よりも遙かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる詩家となった者がいくらでもいるのだ。