出口 治明
選挙は民主主義の根幹をなしている制度ですから、きちんと教育をしないといけません。
昔...北欧の友人から...次のような話を聞きました。
近代国家では、選挙の際にメディアが必ず「どの候補者が優勢」か事前に報じる。
いいと思った場合、...3つの方法がある。投票所に行って、その候補者の名前を書く、棄権する、白票を投じる、これらは全部同じ結果となる。
いやだと思ったら、...1つの方法しかない。投票に行って違う人の名前を書く。
これが選挙です。
中学生にも選挙の仕組みがよくわかるように知恵を絞って教育しているのです。
「投票に行ったところで何も変わらない」という人がいますが、それは全く違うのです。「投票に行かない」ということは棄権ではなく、優勢な候補者に票を入れたことと同じことになる。投票率が10パーセント上がるだけで当選者の顔ぶれはがらりと変わると言われています。市民のリテラシーを高めるために北欧のような実務的な教育を行うべきです。(以上、出口治明)
岩波書店編集部編 岩波書店(2016)より