2021/07/12

『吾輩は猫である』の中の英語 (1)

『吾輩は猫である』を声に出して読み進めています。さすがの英文学者・漱石先生です。 

万一の事を考えると今の内に有為転変の理,生者必滅の道を説き聞かして,もしもの変が起った時取り乱さない位の覚悟をさせるのも,夫の妻に対する義務ではあるまいかと考え出した。僕は速(すみやか)に細君を書斎へ呼んだよ。呼んで御前は女だけれども many a slip 'twixt the cup and the lip という西洋の諺位は心得ているだろうと聞くと,そんな横文字なんか誰が知るもんですか,あなたは人が英語を知らないのをご存じのくせにわざと英語を使って人をからかうのだから...(第ニ章より)


There's many a slip 'twixt [between] the cup and the lip.
「コップを口に持っていく間にも多くの失敗がある;油断大敵」(ウィズダム英和辞典) 「(saying) Nothing is completely certain until it really happens because things can easily go wrong.」(OALD9) 「人がまさに欲望をとげようとする時に,何か思わぬ妨げで果たせぬことがある意の諺」(岩波文庫 注)

❑ many a ~

(ウィズダム英和辞典)