2025/08/01

現在の英語教育の最大のガンは高校入試にあるのではないかと、私はかねがね思っています。そこでは、何が分かっていることが,本当に英文を読めることにつながるのかの分析もないまま、くだけた言い方をすれば、「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」というだけの考え方で,大量で時には難解な英文が試験問題として取り上げられています。

しかも設問はその英文の内容とほとんど関係がないか、選択肢を見るだけで正解は分かってしまうような問題に終始しているのです。もっと悪いのは、そういう設問に答えることができると、学生は、時には教師までが、もとの英文が読めたものと信じこんでしまうことです。

高校生の大部分は高1か高2のどこかで、教科書の内容が急に難しくなり、今までのやり方,単語の意味を調べたあとは、フィーリングと想像力を働かせて文の内容らしいものをデッ手上げるというやり方では、一歩も先へ進めないことに気がついて、ガクゼンとするのですが、それは皆然のことなのです。そういう時にどう考えたらよいかという方法は今まで誰も教えてくれなかったのですから。

英語を支える少数の約束を理解し、その約束に従って読む訓練をすれば、「英語が見える」ようになり、分からないときに考えてゆく手がかりをつかむことは、そんなに難しいことではないのです。

伊藤和夫「ビジュアル英文解釈」より