この世の中には理屈では説明できないことが多いし、理屈そのものが通らないことが多い。自分の思い通りになることなんて、ほとんどないというのが現実なのだ。けれども、われわれはそれでも生きていかなければならない。前に進んでいかなければならない。「世の中は思い通りにはならない」ということを言い訳にして、「だからおれの人生はこんなものさ」と思ってしまったら、これほどつまらないことはない。自分が恵まれていないからといって、恵まれている人をうらやんだり、妬んだりしても、虚しさが募るだけだ。大切なのは、そんな境遇にあっても、いつも自分の夢を持ち続け、なんとかして理不尽な状況に打ち克って夢を実現しようとすること、理想の人生にできるかぎり近づこうと努力することだろう。その過程こそ、生きることの醍醐味というか、喜びもあると私は思っている。平尾誠二『理不尽に勝つ』(PHP研究所)