内閣とは 法律を誠実に執行する行政機関で,国会は唯一の立法機関です。法律は ときに国民の権利を制約しうるので,国民の代表者である国会だけが立法できると 憲法に定めています。
ですから 内閣が勝手に法の枠や解釈の枠を踏み外してはなりません。憲法は 主権者たる国民の側に制定権力があり,政府は 憲法に拘束される側ですから,身勝手な解釈変更など許されません。
それが三権分立の本当の姿です。でも,この10年,単なる 閣議決定で 憲法や法律が読み替えられています。これは 暴政 です。
出発点は 2014年の夏。集団的自衛権の行使容認を 安倍内閣が閣議決定した時です。専守防衛のはずの自衛隊が 他国の戦争に介入できることになったのです。
百八十度の大転換です。平和主義を定める憲法9条から逸脱しています。法治国家では 法の整合性や連続性が求められますが,壊れてしまいました。
それからは 安全保障の重要案件の多くは,閣議で決定されていきます。敵基地攻撃能力の保有や 防衛費倍増,高性能の次期戦闘機を他国に売ることも…。
でも,そもそも閣議決定とは 閣僚の合意事項で,法律を超える法的拘束力はありません。もし閣議決定に法的効力を認めるとすれば,内閣が勝手に法律をつくるのと同じです。国会はいらなくなります。やはり暴政なのです。...以上,憲法記念日の今日付の「東京新聞」社説から一部抜粋