『第二楽章 ヒロシマの風 長崎から』
(スタジオジブリ, 2015)より
帰り来ぬ夏の思い
下田秀枝一、黒い雨の降りしきる中ぼくは母さん 探していますのどがからから水が欲しいよ 母さんやけどの手足がひりひり痛いよ 母さんさっきの青空どこへ消えたの 母さん母さん 母さん 母さんお願い 返事をしてよ 母さんなんだかぼくはもうぼくでなくなるよ二、炎の雨の降り注ぐ中ぼくは母さん 探しています回りがだんだん熱くなってくよ 母さんぼくのおうちはどこへいったの 母さんさっきの話の続きをしてよ 母さん母さん 母さん 母さん早くここへ来て ぼくを抱いてもうじきぼくはもうぼくでなくなるよ三、目を閉じて ごらんなさい見えるでしょう 炎と灰に埋もれる街聞こえるでしょう母の 子どもの すすり泣き帰り来ぬ夏のあの呪い あの思い『原爆詩集 長崎編』より