村上春樹著 『走ることについて語るときに僕の語ること』 文芸春秋 (What I Talk About When I Talk About Running: A Memoir)は,語学学習に通じるメタファーにあふれています。
特に初学者は,せっかく学んだ英文を,復習や音読せずに放っておくと,次の課に進んだとしても,またふりだしに戻ってしまいます。
できる人は復習や音読を怠りませんし,いつまでもできない人は復習や音読を甘く見ています。
英語力云々以前の習慣の問題です。でも習慣を見直せば,英語力は必ずアップしてゆきます。
第4章から一部を備忘のために記します。
たとえ絶対的な練習量は落としても,休みは二日続けないというのが,走り込み期間における基本的なルールだ。
The total amount of running I'm doing might be going down, but at least I'm following one of my basic rules for training: I never take two days off in a row.
筋肉は覚えの良い使役動物に似ている。注意深く段階的に負荷をかけていれば,筋肉はそれに耐えられるように自然に適応していく。
Muscles are like work animals that are quick on the uptake. If you carefully increase the load, step by step, they learn to take it.
しかし負荷が何日か続けてかからないでいると,「あれ,もうあそこまでがんばる必要はなくなったんだな。あーよかった」と自動的に筋肉は判断して,限界値を落としていく。
If, however, the load halts for a few days, the muscles automatically assume they don't have to work that hard anymore, and they lower their limits.
負荷が与えられなくなれば,安心して記憶を解除していく。そしていったん解除された記憶をインプットしなおすには,もう一度同じ工程を頭から繰り返さなくてはならない。
If pressure isn't applied to them, they relax and cancel out the memory of all that work. Input this canceled memory once again, and you have to repeat the whole journey from the very beginning.
ノーベル文学賞の発表が13日に見込まれています。英ブックメーカーは今年,2年ぶりに,村上春樹をトップ候補としているそうです。