齋藤孝 著『ニーチェ 自分を愛するための言葉』
「人は多くの場合,孤独を感じると,「自分には居場所がない」ような気がしてきます。「学校でも,職場でも,家庭でも,安心して,落ち着いて時間を過ごすことができない。居場所がないんだよ。どこの誰からも受け入れてもらえない。自分は何て孤独なんだ」というふうに,孤独に対して受け身の姿勢をとるのです。
ところがニーチェは全く逆。孤独をポジティブに捉えています。
ニーチェに言わせれば孤独は,「安心して一人で自由に時間を過ごせる,極上の居場所」。だから,大勢の人がいて,なんだかんだせこいことを言ったり,したりして,自分を煩わせる場を離れ,「自分の孤独のなかに逃げ込め」と言うのです。
「逃げる」と言うと受け身なイメージを持つかもしれませんが,「孤独を自分の居場所にする」のですから,決して孤独に押しつぶされそうになって逃げるのではありません。どちらかと言うと,「自ら孤独でいることを選ぶ」というイメージです。
齋藤孝