「言葉の学習は,何よりもまずそれぞれの言語に固有のロゴスを身につけることである。高校生の頭脳はすでに記憶力のピークを越え,反面理解力と分析力が伸長していることを考えれば,方法性を欠いた反復の中からひとりでに 言葉が身につくことを期待しても効果は薄い。英米人は文法を知らなくても英語が使えるのだから日本の学生にも文法は無用のはずだというのは,母国語の学習と外国語のそれとを混同した暴論である。文法を追放することは,英語学習からその科学性を奪い,所詮は不可能な幼児期への退行を強いることなのである。」伊藤和夫著『英文法教室』はしがきより
(1979年 初版発行)