日野原重明『十代のきみたちへ』
(2014年5月3日 第1刷発行)
いのちを守る憲法を持っている日本の人たちは,もっともっといのちを大切にしなければなりません。いのちの大切さを忘れ,お金もうけばかりに気を取られていると,そのうち憲法を変えようとする人たちに,いのちを守らない憲法をつくられてしまうかもしれません。よく考えないで,そういう人の意見に賛成してしまうと,あっという間に憲法改正の国民投票になってしまうことだって考えられるのです。今の情勢では,やがて選挙権が二十歳から十八歳に下げられるでしょう。選挙に行くおとながだんだん少なくなっているので,若い人たちを取りこんで,選挙に行く人の数を増やそうという考えです。私もそう思っています。国際的にも,選挙権が二十歳からという国は少ないので,この改正はすんなりと決まりそうです。そうなると,きみがいま十歳だとしたら,あと八年で選挙権を持ち,憲法改正の投票をすることになるかもしれません。そのときは,「日本国憲法はいのちを守るものだ」というわたしのことばをぜひ思いだして欲しいと思います。
本日,選挙権を18歳に引き下げるという公職選挙法改正案が,衆院本会議で全会一致で可決されました。