2016/11/01

「ウイスキーの匂いのする小さな旅の本」

 
「ウイスキー造りを僕が好きなのは,それが本質的にロマンチックな仕事だからだ。僕が今こうして作っているウイスキーが世の中に出ていくとき,あるいは僕はもうこの世にはいないかもしれない。しかしそれは僕が造ったものなんだ。そういうのって素敵なことだとは思わないか?」

1997年当時のボウモア蒸留所のマスター・ディスティラー,ジム・マッキュアン氏が,村上春樹 「もし僕らのことばがウイスキーであったら」(1999)平凡社 の中で語っている言葉です。
 
文章もさることながら,
奥様の村上陽子さんの写真が驚くほど美しい,
「ウイスキーの匂いのする小さな旅の本」です。
 
親が子へ,上司が部下へ,先輩が後輩へ,教師が生徒へ伝えていることも,今日明日に答えが出るものではありません。頭ではわかっていても,ついついその場で結果を求めて,言い聞かせようと必死になってしまうこともあったりするものです。
 
僕らの仕事もジムと同じようにロマンチックなものなのです。ときには鷹揚に構えて見守る姿勢も大切ですね。いつかきっと救われる日が来るものです。
 
ジム・マッキュアン氏は,その後2000年に,52年間勤めたボウモア蒸留所を離れ,同じアイラ島にあるブルイックラディ蒸留所の再建に尽力し,チャレンジングな試みをたくさん行って,昨年2015年に引退しました。